アンハッピー・ウエディング〜前編〜
えっ、ちょ。どうしたよ?

「私…またやっちゃった?悠理君に喜んで欲しくて、逆にまた困らせちゃった?」

「え?いや、そ、そんなことは」

「ごめんね。私、悠理君みたいに上手く出来なくて…」

「そんな…。別に落ち込まなくても…」

寿々花さんなりに、昼間の失敗をせめて少しでもリカバリーしようと頑張った結果が、このケーキなんだろうな。

ケーキくらいは贅沢に、大きなものを用意しようと…。

その気持ちは嬉しいんだが…限度ってものがあるからな。世の中には…。

「誕生日プレゼントもね、もっとちゃんとしたもの…用意してあげたかったんだけど。私のプレゼントは、悠理君にとってはあんまり嬉しくないみたいだから…」

…鳩時計と大根と、ケチャップだもんな。

「せめて、今日くらいは悠理君にお殿様になってもらって、ゆっくりして欲しかったんだけど…。やっぱり駄目だったみたい。ごめんね、悠理君」

「良いって、別に…。寿々花さんが一生懸命俺を喜ばせようと頑張ってくれてるのは、ちゃんと伝わってるからな」

「…うん…」

しょぼーん、と落ち込んでいる。

…うーん…。どう励ましたら良いものか。

いや、素直に喜んであげられない俺の責任でもあるんだけど…。

すると、寿々花さんが。

「あのね、悠理君…これ」

「ん?何?」

赤いリボンの付いた、小さな花束のようなものを差し出してきた。

…何だ?これ。
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