アンハッピー・ウエディング〜前編〜
さて、それはそれとして。

目の前にある、この巨大ケーキの処理をどうするかは、また別の問題である。

…色々考えたけど、やっぱり。

俺は携帯を使って、すぐさま雛堂と乙無を特殊召喚。

30分後、二人がやって来た。

「やっほー、星見の兄さん。どうした?」

「言われた通り来ましたけど…。何ですか?僕は忙しいんですけど?」

「よし、来たな。突然だが、今すぐこのケーキを食べろ。全部食べきるまで、この家から出さないからな」

「新手の脅迫…!?」

何とでも言え。

食べ物を無駄にしない為には、こうするしかないんだよ。

「つーか、何だこのケーキ。でかっ!」

「ウェディングケーキですかね。悠理さん、結婚したんですか?」

「ちげーよ」

何だその誤解は。確かにウェディングケーキっぽいけども。

「今日、俺の誕生日なんだよ」

「え、マジ?おめでと。何歳?」

同級生なんだから分かるだろ。16歳だよ。

「そしたら、寿々花さんがケーキを用意してくれたんだけど…。見ての通りあまりに巨大で、とても二人じゃ食べ切れなかったから…」

「あ、それで自分らにお裾分けしてくれるってこと?」

「あぁ。せめて冷蔵庫に入る大きさになるまで食べてくれ」

「マジかよ。そうと知ってれば昼飯抜きにしたのに」

それは悪かったな。

こっちも突然だったから。こんなに大きなケーキだと知ってたら、最初から二人を呼んでたよ。

「何だか申し訳ないですね。悠理さんの誕生日なのに、僕達がご馳走してもらって。そうと知っていれば、手ぶらでは来なかったんですが。教えてくれたら良かったのに」

「言ったら、そうやって気を遣うと思ったから言わなかったんだよ」

むしろ、こっちが突然呼びつけてケーキを押し付けてるんだからさ。

余計な気遣いは不要。とりあえず食べられるだけケーキを食べてくれ。

「はい、ナイフとフォーク。水とコーヒーはおかわり自由な」

「マジかよ。コーラは有料?」

「別料金だ」

「ちっ、残念」

炭酸系は駄目だよ。それだけで腹に溜まるだろ。

「制限時間は無しな。どうぞ」

「ども。ごっつぁんです!」

「有り難くいただきます」

雛堂と乙無はそれぞれケーキを切り分けて、早速食べ始めた。
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