アンハッピー・ウエディング〜前編〜
しばらく、メニュー表にらめっこしていたお嬢さんだが。
「悠理君は?何にするの?」
不意に顔を上げて、俺にそう尋ねた。
聞いてくると思ってたよ。
「日替わり定食にするつもりだよ」
俺は別に、にんじんが乱切りだろうと気にしないからな。
むしろ、星型より乱切りの方が食べ応えがあって良いだろう?
「えっ。大丈夫なの?にんじん食べられるの?」
「…食べられるよ…」
「ピーマンも入ってるよ?それも大丈夫なの?」
「あんたと一緒にするな。食えるわ」
「ほぇー」
高校生にもなって、ピーマン食べられない、星型じゃないとにんじんも食べられない。
それどころか、ファミレスのメニューも自分で決められないなんて言ってるのは、あんたくらいだよ。
「で、どれにするんだ?」
「うーん…。あ、これ美味しそう」
と言って、お嬢さんはメニュー表の1ページを指差した。
どれどれ、と思って覗き込んでみたら。
「…お子様ランチじゃん」
思わず、椅子の上でずっこけそうになった。
あろうことか、お嬢さんが指差したのは、玩具付きのお子様ランチだった。
「ワンプレートで食べやすそうだし、それに美味しそうなものがたくさん乗ってるよ」
そうだな。
オムライス、ミニハンバーグ、ポテトフライ、ソーセージ、エビフライにゼリー。
子供舌なお嬢さんにとっては、好きなものが全部ワンプレートになってて、食欲をそそられるんだろうが。
分かる、分かるよ。大人でも、お子様ランチ食べたくなるときあるよな。
外食に来たのは良いものの、あんまり食欲が湧かないときとか。
たまには童心に返って、お子様ランチの旗を集めたくなるときとか。あるよな。
…百歩譲って、それは認めるけども。
「でも残念だったな。お子様ランチを注文出来るのは、小学生以下のお子様だけだ」
大人でも、お子様ランチを頼めるお店もあるらしいけど。
このファミレスでは残念ながら、お子様ランチを注文出来るのはお子様だけだ。
確かにお嬢さんは、中身も舌も小学生以下の子供だが。
見た目は高校生だから、お子様ランチを注文することは出来ないんだよ。
「えっ。駄目なの?」
「あぁ。駄目だ」
「…子供は良いのに大人は駄目なんて、差別だ…」
文句言っても、駄目なものは駄目なんだよ。
お子様ランチ以外で選んでくれ。
「他にも色々あるんだから、そっちを選べよ。ハンバーグとかステーキとか、パスタもあるぞ」
「折角、悠理君が作ってくれたみたいな美味しいオムライスが食べられると思ったのに…」
お子様ランチに未練たらたら。
どうやら、お子様ランチについていたオムライスが食べたかったご様子。
それなら…。
「単品でオムライスあるぞ、ほら」
「えっ。あるの?」
「あるよ」
頼むから、メニュー表をよく見てくれよ。
「やったー。じゃあそれにする」
良かった。円満に決まって。
このままだと、高校生なのにお子様ランチを注文させて欲しいと交渉しなきゃならないところだった。
「悠理君は?何にするの?」
不意に顔を上げて、俺にそう尋ねた。
聞いてくると思ってたよ。
「日替わり定食にするつもりだよ」
俺は別に、にんじんが乱切りだろうと気にしないからな。
むしろ、星型より乱切りの方が食べ応えがあって良いだろう?
「えっ。大丈夫なの?にんじん食べられるの?」
「…食べられるよ…」
「ピーマンも入ってるよ?それも大丈夫なの?」
「あんたと一緒にするな。食えるわ」
「ほぇー」
高校生にもなって、ピーマン食べられない、星型じゃないとにんじんも食べられない。
それどころか、ファミレスのメニューも自分で決められないなんて言ってるのは、あんたくらいだよ。
「で、どれにするんだ?」
「うーん…。あ、これ美味しそう」
と言って、お嬢さんはメニュー表の1ページを指差した。
どれどれ、と思って覗き込んでみたら。
「…お子様ランチじゃん」
思わず、椅子の上でずっこけそうになった。
あろうことか、お嬢さんが指差したのは、玩具付きのお子様ランチだった。
「ワンプレートで食べやすそうだし、それに美味しそうなものがたくさん乗ってるよ」
そうだな。
オムライス、ミニハンバーグ、ポテトフライ、ソーセージ、エビフライにゼリー。
子供舌なお嬢さんにとっては、好きなものが全部ワンプレートになってて、食欲をそそられるんだろうが。
分かる、分かるよ。大人でも、お子様ランチ食べたくなるときあるよな。
外食に来たのは良いものの、あんまり食欲が湧かないときとか。
たまには童心に返って、お子様ランチの旗を集めたくなるときとか。あるよな。
…百歩譲って、それは認めるけども。
「でも残念だったな。お子様ランチを注文出来るのは、小学生以下のお子様だけだ」
大人でも、お子様ランチを頼めるお店もあるらしいけど。
このファミレスでは残念ながら、お子様ランチを注文出来るのはお子様だけだ。
確かにお嬢さんは、中身も舌も小学生以下の子供だが。
見た目は高校生だから、お子様ランチを注文することは出来ないんだよ。
「えっ。駄目なの?」
「あぁ。駄目だ」
「…子供は良いのに大人は駄目なんて、差別だ…」
文句言っても、駄目なものは駄目なんだよ。
お子様ランチ以外で選んでくれ。
「他にも色々あるんだから、そっちを選べよ。ハンバーグとかステーキとか、パスタもあるぞ」
「折角、悠理君が作ってくれたみたいな美味しいオムライスが食べられると思ったのに…」
お子様ランチに未練たらたら。
どうやら、お子様ランチについていたオムライスが食べたかったご様子。
それなら…。
「単品でオムライスあるぞ、ほら」
「えっ。あるの?」
「あるよ」
頼むから、メニュー表をよく見てくれよ。
「やったー。じゃあそれにする」
良かった。円満に決まって。
このままだと、高校生なのにお子様ランチを注文させて欲しいと交渉しなきゃならないところだった。