アンハッピー・ウエディング〜前編〜
一日目の掃除だけでも、俺達新入生はくたくただった。

何と言っても、ほとんど使われていない旧校舎の空き教室を、一日で全部掃除させられたのだ。

え?使ってない教室なんだから、そんなに汚れてないだろうって?

そう思うなら、手伝いに来てみろよ。

使われていないが故に、幾層にも埃が積み重なって、パイ生地みたいになってるから。

窓だって汚れまみれで、濡らした雑巾でちょっと拭いただけで真っ黒。

一体何度雑巾を洗って、何度バケツの水を取り替えたか分からん。

おまけに、旧校舎は新校舎と違って、便利なエレベーターとかもないしな。

水の入った重いバケツを持って、階段上って何度も往復したよ。

これは何かの修行だろうか。

真新しいはずの体操服が、入学三日目にして埃まみれ。

体育の授業、まだ一回もやってないのに。

こうしている間にも、女子部の新入生達は今頃、京都で寺や神社巡りしながら、京懐石に舌鼓を打ってるんだろうなぁ、と思うと。

やってられねーよ、畜生。

それでも俺達新入生は、丸一日かけて、旧校舎をピカピカに掃除した。

やれやれ、とホッと胸を撫で下ろしたのも束の間。

翌日、大掃除二日目のこの日。

俺達は、昨日の旧校舎大掃除は、まだまだ序の口だったのだと知ることになる。
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