青の中に閉じ込められて
空港の入り口で彼方は待っており、挨拶をして歩き出す。彼方に服を褒められ、葵は少し照れ臭くなった。

「久しぶりに服を買いました。褒めていただいて嬉しいです」

「そういう可愛らしい服も素敵ですね」

歩き出して数分、葵と彼方の目の前に飛行機が姿を見せた。大きく立派な機体に葵の目が輝く。

「すごい……!」

「これに今から乗るんですよ」

飛行テストということもあって、機内には葵と彼方、そして二人のキャビンアテンダントしかいない。

「星空さん、この飛行機は誰が操縦するんですか?」

「俺の父が機長で、俺の先輩が副機長です。俺は今回は乗客役になります」

葵が窓際の席に座ると、その隣に彼方が座る。そしてキャビンアテンダントが飲み物を持って来る。しばらくすると、アナウンスが鳴り響いた。

『皆様、ご搭乗ありがとうございます。機長の星空壱成(ほしぞらいっせい)です。空の旅をお楽しみください』

そのアナウンスと共にエンジンが大きく音を立てる。いよいよ離陸するのだ。
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