青の中に閉じ込められて
(あの時みたい……!すごく楽しみ!)

葵がわくわくしながら窓の外を見ていると、肘掛けに置かれた手に温もりを感じる。横を見れば、まるで愛おしいものでも見つめるかのように優しい目をした彼方がいた。

「すみません。パイロットなのに、離陸直後の浮遊感が苦手でして……。手を繋いでいてもいいですか?」

子犬のような目で見つめられ、葵の胸がキュンと音を立てる。これがギャップ萌えというやつなのでは、と思いながら葵は頷いた。

「わ、私の手でよければどうぞ!」

「ありがとうございます」

飛行機がゆっくりと地上を離れ、やがて空へと上昇していく。その間、葵の手と彼方の手は重なっており、葵の胸は違う意味で高鳴っていた。

(すごくドキドキしてる……。目の前の景色に集中できない!)

飛行機が上昇をやめ、水平に飛び始める。だが葵と彼方の手は重なったままだ。しかし、緊張からか手のことを葵は口にすることができない。
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