青の中に閉じ込められて
「水谷様、アイスクリームはいかがですか？」

キャビンアテンダントが話しかけてくる。葵が「ありがとうございます。いただきます」と答えると、すぐにキャビンアテンダントはカップに入ったアイスクリームとスプーンを持って来てくれた。アイスクリームの味はバニラである。

「おいしそう」

葵がそう言うと、彼方がようやく「ずっと手を握ってしまってごめんなさい」と離してくれた。温もりが離れていき、葵はホッとしながらアイスクリームを食べていく。

「水谷さん」

アイスクリームを食べながら外の景色を楽しんだいた葵に、彼方が話しかけてくる。隣を見れば、彼方はいつも以上に真剣な顔をしていた。

「あの、俺、出会った時からずっと水谷さんのことが好きなんです！よければ、結婚を前提に付き合ってもらえませんか？」

「えっ……」

突然の告白に葵は戸惑い、ポカンと口を開けてしまう。彼方との関係は空港に来た時に話す中であり、彼の持つパイロットという肩書きに憧れを抱いてはいたものの、異性として意識したことは一度もなかった。
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