青の中に閉じ込められて
「星空さんはとても素敵な人だと思います。いつも私の写真を見てくれて、笑顔で話しかけてくれて、とても嬉しかった。だからこそ、相応しい人と交際されるべきだと思うんです」

葵がそう言った刹那、スッと彼方の顔から表情が消えた。突然表情が変わってしまったことに葵はビクリと肩を震わせる。

「水谷さん、ここがどこかわかりますか？」

突然の質問に葵は首を傾げる。しかし、その質問に答えた。

「空の上です」

そう葵が答えると、彼方は葵の両手を強く掴んだ。驚いて葵が振り解こうとしても、びくともしない。まるで手錠で拘束されてしまったかのようだ。

「水谷さん。本当はこんなことは言いなくなかったんですが、あなたが気持ちを受け取ってくれないから、仕方なく言います。この飛行機の燃料は、あと三十分もしないうちになくなります」

「えっ？」

何を言っているのか理解が追いつかない。早く着陸をしなければ燃料切れで墜落してしまう。戸惑う葵に彼方は顔を近付け、ニヤリと笑った。
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