P法
 玄関の扉の開く音が聞こえ、振り向くと溝内が帰宅していた。竹田は溝内がぶら下げているコンビニ袋を一瞥し、すぐに聞いた。
「いくらでした?」
 溝内は雑に袋をテーブルに置いた。
「30万」
「やっぱり、そんなもんですよね。副業でもしないと、食っていけないですよ」
 溝内は袋をガサガサと鳴らし、新品の煙草を取り出した。見張りを竹田と変わり、窓側に座ると煙草に火を点けた。
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