「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「失礼します」

 そのような無視にショックを受ける必要はない。頭を軽く下げ、二人の前を通り過ぎようとした。

「ずいぶんと無駄遣いをしているのだな」

 通りすぎざま、フェリクスがモルガンに言う不機嫌そうな声がきこえてきた。反射的に歩く速度を落としてしまう。

「はあ……。いえ、旦那様……」
「食費もずいぶんと多くないか? 使用人全員がここに住んでいるからといっても、ありあまるほどの食費のようだが?」
「いえ、そのことですが……」

 度重なるフェリクスの指摘に、モルガンは困っている。
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