「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
 その瞳の色に見惚れていると、不意にそれをそらされてしまった。

 そして、背を向けると廊下の奥へと去って行った。

(ちょちょちょちょっと、どこまでわたしを無視するの?)

 ここまでされたらいっそ清々しい。

 って、清々しい気持ちになっている場合ではない。

 フェリクスのおおきなおおきな背は、わたしという存在じたいを否定している気がした。
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