「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「アイ様。おっしゃっていただければ、馬車を出しましたのに」

 ロドルフが作業の手を止め、こちらに手を振ってきた。

「ありがとう、ロドルフ。だけど、たまには歩かないと太る一方だわ」
「アイ様は、太った方がいいですよ。いまは、痩せすぎです」
「またまた」

 彼はそう言うけれど、わたしはけっして痩せてはいない。

 ラングラン侯爵家およびラングラン侯爵領の男性たちは、口を揃えて「痩せすぎている。いっぱい食べて、太らなくては」と言う。

 おそらく、感覚がズレているのだろう。

 わたしは、そう解釈している。だから、真に受けないことにしている。

 信じて食べ続けようものなら、とんでもないことになるに違いないから。

 こればかりは、癒しや加護の力ではどうにもならない。はず、である。
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