「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「どうぞ」

 すぐに返ってきたので、中に入った。

 緊張している。心臓は、止まってしまうかと思うほど激しく鼓動を刻んでいる。

 執務室に入ると、真正面奥の執務机の向こうに彼がいる。彼は、一人である。

 パトリスとピエールはいない。

 当然、フェリクスと目と目が合った。
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