「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
 気がつくと、肩で息をしていた。言葉の代わりに、ハアハアと荒い息が口から出ている。

 喋っている間は、彼ではなく彼のうしろの窓の向こうに広がる木々を見つめていた。このときになってやっと、視線を彼へと戻した。

 彼のごつい顔に浮かんでいるもの。

 驚きや失望や疲れや倦怠?

 いいえ、違う。

 なにも浮かんではいない。まったくの無表情。

 一瞬、わたしの説明がまったくわからなかったのかと思った。
< 174 / 294 >

この作品をシェア

pagetop