「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~

ジョフロワがやって来た

 イライラしているわけではない。なんとなくモヤモヤしている。

 頭ではわかっている。慈善病院のみんなもフェリクスと同じ考えだったのである。彼らは、わたしに気を遣ってあんなふうに言ってくれていたのだ。

 わたしは、いつもひとつのことに集中しすぎてしまう。それ以外のことは、目や耳に入らなくなってしまう。

 冷静に考えなくてもわかること。世間知らずとか、知識や常識がないとか、それ以前の問題。

 フェリクスに諭されるまでもない。
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