「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「アンヌ・リヴィエール! まさか、こんなところまで追いかけてくるとは」

 フェリクスのごつい顔の表情まではわからない。

 しかし、その声には言葉ほど嫌悪は混じってはいない。

 すくなくとも、わたしに対する声よりかはずっとずっとやさしくて愛想がいい。

(なるほど。彼女が、例の『遊んでくれるレディ』というわけね)

 勘? いいえ。勘を働かせるまでもない。

 どこからどう見ても、それ以外に考えられない。
< 202 / 294 >

この作品をシェア

pagetop