「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「くそっ! 追いつかれたのか? 国境までまだ距離があるというのに」
「仕方がない。強行突破だ。馬に鞍を置け」

 ジョフロワは、そう命じながらわたしを解放した。間髪入れず、わたしの手を握ると馬車から地に降り立つ。

 手をひっぱられて馬車から降りようとした瞬間、エルキュールが座面を上げてその中から剣を取り出すのが見えた。

 地に降り立ったとき、初めて複数の馬の蹄の音が森の中に響き渡っていることに気がついた。
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