「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
 いずれにせよ、彼はまるで幼少の頃から厳格なマナーの中ですごしているのかしら?

 もちろん、それは貴族的なマナーのことである。

 そういえば、このキラキラ光る美しさもただ光っているだけではなく、どこか気品が漂っている気がする。

 差し出された左肘、というよりか左腕を前にして、内心で戸惑いを隠せないでいる。

 一瞬、どうしようか迷った。

 だけど、夫がいることが理由で男性のエスコートを断らなければならない、というわけではない。

 もちろん、わたしにやましい気持ちなど微塵もない。当然だけど、ジョフロワにもそういう気持ちは極微もない。

 だったら、いいわよね?
< 26 / 294 >

この作品をシェア

pagetop