「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「でまかせだ。そいつらは、おれを陥れようとしているんだ。アイ、どちらを信じるんだ? ろくでなしの部下どもか? それとも、おまえによくしてやったおれか?」

 せっかく離れたというのに、ジョフロワが一歩分距離を縮めた。

 彼の美貌は、いまはもうキラキラ光ってはいない。

 いまはただ、負の感情が広がっているだけ。

(なるほど。呼び方も『わたし』から『おれ』に、『あなた』から『おまえ』になったわけね)

 本性をあらわし始めたジョフロワを、冷ややかな目で見てしまう。
< 262 / 294 >

この作品をシェア

pagetop