「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~

ランチをともに

 ラングラン侯爵家の料理人ジョスラン・ルクレールが腕によりをかけてくれたメニューは、ジラルデ帝国の名物料理ばかりではない。

 ジラルデ帝国の名物料理よりアムラン王国で好んで食されるメニューの方が多い。

 じつは、そうしてもらうようお願いしたのである。

 ジョスランは不思議がった。

「アイ様、ふつうはこのジラルデ帝国の料理を出すものですが……」

 料理人によくあるように、彼もまた恰幅がいい。そして、コック服がよく似合っている。

 彼は背の高いコック帽をのせた頭を右に左に傾け、正直に言ってくれた。
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