「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
 それはともかく、ジャックミノー家は代々癒しと加護の力を受け継いでいる。加えて、お人好しな性格も。父は養子として母に嫁いだわけだけれど、二人とも控えめにいってもお人好しすぎた。

 日頃からあらゆる階層の人たちに癒しの力を施していたのはもちろんのこと、利用されたりだまされたりばかりいた。

 書物に出てくる「お人好し貴族」そのままである。

 結局、両親は失意のまま事故で死んでしまった。

 じつは、事故というのもはなはだ怪しいのだけれど。

 その両親が前ラングラン侯爵とその奥様を流行り病から救った縁で、わたしはいまここにいる。

 それがいいか悪いかは別にして。

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