「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「そうなのです。ですから、アイ様のお役には立てないのです。申し訳ありません」

 もうひとりのメイドのヴェロニク・ポネットが言った。

 彼女は、金髪碧眼。サラッサラの金髪をうしろでひとつにまとめている。とにかく彼女は美しい。美しいけれど、残念ながら自分ではそれに気がついていない。機転がきく上に要領がよく、さらには完璧主義。迅速丁寧な仕事ぶりは、見習わねばならないといつも感心させられる。
 とはいえ、彼女はそれを鼻にかけるわけではない。優秀な仕事っぷりについてもまた、彼女は気がついていないようだから。
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