「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
 そして、回答を得た。

 さっぱりわからない、ということを。

 わたし同様一度も会ったことがないのだから、当然である。

 執事のモルガンや管理人のマルスランに尋ねても、「坊ちゃんはずっと帝都にいたのです。軍の幼年学校から軍へ。ここに帰ってきたことはありません」と口を揃えて言う。

 マルスランは、会ったことはあるけれどあくまでも「坊ちゃん」だった頃のこと。ロマーヌの言う通り、そんな幼い頃といまがまったく同じということは考えられない。しかも、マルスランは「おとなしい坊ちゃん」程度にしか記憶にない。

 つまり、結局はだれにもわからないのである。
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