「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「はい、旦那様。執事のモルガンです」
「おかえりなさいませ、坊ちゃん。管理人のマルスランです」

 二人が挨拶するその背を見つつ、自分が緊張していることを自覚せざるを得ない。

「ただいま。留守中、いつも申し訳ない。モルガンもマルスランも、おれにかわってラングラン侯爵家を守り、滞りなく管理をしてくれていること、心より感謝する」

 フェリクスは、頭を下げた。

 正直、意外だった。

 わたしのうしろにいるメイドのロマーヌとヴェロニクも意外だったらしく、うしろで同時に息をのんだのを感じた。
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