「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
 書物を読んだとき、主人公であるレディと貴公子が初めて出会ったシーンがあった。といっても、さほど感動的でもとんでもないシチュエーションでの出会いではない。オーソドックスな出会いの一番面といった感じである。

 そう。ちょうどいまのこの状況のような。

 三人称で描かれたその話の中、主人公のレディも貴公子もふたりとも目と目が合った瞬間に雷に打たれたかのような衝撃を受けたのである。

『雷に打たれたみたいな』という一文を呼んだとき、おもわず声に出して笑ってしまった。

 実際、雷に打たれたことがあるの? あったとしたら、よく生きているわね、と。

 もちろん、それは比喩表現にすぎず、それほどの衝撃を受けたと言っているにすぎない。

 わかってはいるものの、なぜか笑ってしまったのである。
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