「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「だから、待ってよ。わたしも行くから」

 なんてこと。いつも冷静沈着なヴェロニクまで直談判に行くというの?

「ちょちょちょ、ちょっと待って。二人とも、ちょっと待って。ほんとうにごめんなさい。それから、わたしのことを心配してくれてありがとう。フェリクス様には、わたしから話をするつもりなの。だから、いまはまだそっとしておいてくれないかしら」

 おもわず、口からでてしまった。

 まったくの嘘ではない。いつか話はしなければならないと考えている。

 だけど、それがいつなのか? なにを話せばいいのか?

 それらがまったくわからないだけ。
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