「きみを愛することはないし、きみから愛されようとは思わない」と宣言した旦那様と宣言された私の結末~それでしたら旦那様、あなたはあなたが真に愛する人とお幸せに~
「痛っ」

 それでも、フェリクスは相当な剣の遣い手らしい。

 兵士のひとりの剣を弾き飛ばした。

 が、フェリクスは目測を誤ったらしい。剣を弾き飛ばすだけが、兵士の腕を傷つけてしまった。

「大丈夫か?」

 フェリクスの心配げな声を耳にしたときには、すでに駆けだし自室を飛び出していた。

 夜着のままであることを忘れて。

 そして、階段も飛ぶようにして下り、あっという間に庭に出ていた。
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