僕と永遠を誓いましょう
両親に連れられ、苺は歩いて行く。その先には真冬が微笑みながら立っており、苺の手を取る。

「思った通り、よく似合っています」

「早乙女さん。どういうことですか?」

頰を赤く染める真冬に苺が訊ねると、彼は幸せそうに苺の頰を撫でた。その目に苺の背中に寒気が走る。

「質問したじゃありませんか。結婚式を挙げるならどんなものがいいか。素敵でしょう?憧れのドレスに憧れのガーデンウェディング。天気も良くて、僕たちの結婚にぴったりの日です」

「結婚って、私たちお付き合いすらしていない!」

「大丈夫。お互いの両親には、交際期間があったことにしてあります。挨拶に苺さんが来られなかったのは、体調が悪かったことにしていますから」

「そういう問題じゃなーーー」

大声を苺が出そうとした刹那、真冬に言葉を封じ込められるかのようにキスをされる。それを見た誰かが「誓いの言葉がまだだぞ!」と揶揄うように言い、笑い声が上がった。

「ね?僕と結婚してくれますよね?」

そう言った真冬の目に、光は宿っていなかった。
< 10 / 11 >

この作品をシェア

pagetop