召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?

とうとう魔王様の息が、私の顔にかかった。


ま、まさか、まさか……これってキス、される……?


キスなんてしたことも、されたこともない。


それでも、そうだと予感した。


ど、ど、どうしよう……


夜景スポットでっていうのはいいと思う。


だけど、16年間守ってきた(わけではないけれど)ファーストキスを、会って2日目の人とっていうのは違う気がする!


だったら、手を離して逃げる?


でも、すぐにでも足を滑らせて落下してしまいそうなほど、屋根の傾斜はキツい。


ここから落ちたら痛いだろうな。


それに、きっと痛いだけでは済まない。


魔族から命を狙われる前に、自ら命を放棄することになってしまいそうだ。


それぐらいなら、キスなんて……


…………


わー! わー! やっぱりダメー!


寸前で俯いて、魔王様の胸に顔を埋めた。


私は息を止めた。


……トン


私の頭頂部に魔王様の顎が乗せられた。

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