召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?

魔王様が空いているほうの腕を、私の背中に回した。


それから少しずつ力を込めて、私のことを抱きしめた。


「ごめん。ミクルは今16だったっけ? 18になるまで焦らずいこうか。それまでにゆっくり恋人同士になって、それから結婚すればいいよね」


こ、こ、こ、こ、恋人!?


恥ずかしくて、返事ができなかった。


代わりに魔王様の鼓動が大きく聞こえる。


ドクッ、ドクッ、ドクッ……


魔族の心音は元々速くて強いのかな……


魔王様にドキドキしまくっている私の心臓と同じくらいに聞こえた。


「魔王なんかやってるとけっこう忙しくて、短い時間しか取れないんだけど、これからもこんなふうにデートしようね」

「で、デート? これってデートなんですか?」

「デートでもないのに、女の子とふたりっきりで夜景を見に来たりしないよ」


魔王様が耳元で囁いた。


私はすっかり夜景どころではなくなってしまっていた。


でも、魔界では18にならなくても結婚できるのに、それまで待ってくれるんだ……


私を尊重してくれる魔王様の気持ちは伝わった初デートだった。

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