召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?

これについては大いに心配している。


私の心臓、そろそろ破裂するんじゃ……って。


それに引き替え、デートのときは安心できるはず、なのだ。だって、ハグはなし! なんだから。


それなのに、そうとわかっていても……


魔王様の手を取ると、それだけでまたしても動悸が発動してしまう。


別棟にいる間も手袋をつけたままでいてくれたら、私だってここまでドキドキしなくて済むかもしれないのに……


けれど、魔王様は帰宅するとすぐに、玄関ホールでマントと一緒に手袋も外してしまうのだ。そして、レオさんがテキパキと片付けてしまう。


私が心臓の病で苦しんでいるっていうのに、今だって魔王様は余裕の笑顔。


これって、大人の余裕? 魔族の余裕? それとも魔王の余裕?


何かはわからないけれど、とにかく悔しーい!


「うーん、今日はどこの景色を見せてあげようかなー」

「わっ、わっ、まだ言わないでくださいね!」


私は、自分の胸が躍るのを感じた。これは病気の動悸とは違う。

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