召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか！？

3.3

魔王様は今朝も忘れずに、『あーあ』と大仰にため息を吐きながら、私をハグしてきた。


「今日も城に出勤かー。もう何日連続なんだろ。そろそろ過労とストレスで倒れるよー」


リナさんと違って、魔王様は手も、そして胸も温かい。


魔王様にすっぽり包まれると、魔王様の体温を心地よく感じる。


しかしその一方で、私は目下、心臓病を患っているのだ。


そして、動悸による苦しさのほうが、心地よさをあっさりと上回ってくれるのである。


私だってこう毎日ハグされるなら、いい加減慣れてきてもいいものなんじゃないか、と思う。


思うけれど、私が慣れる以上のスピードで、魔王様の密着度は高くなっているのだ。


今だって、魔王様の頬が私のこめかみ辺りに当たっている。