召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?

魔王様は何にも言ってこなかったけれど、私が故意に隙間を空けたことに気づいて、わざと詰めてきた気がする。


魔王様にはこういう攻防も楽しんでいる節があると思うんだけど、気のせい?


「が、がんばってきてくださいね」

「うん……」

「とってもお疲れの様子だし、たまには早めに帰ってこられるといいですね」

「ホントだよー。僕にはもっと、ミクルと過ごす癒しの時間が必要だと思うんだよね。そうだ、今日は昨日より5分でも長く夜のデートができるようにがんばってくることにする!」


魔王様がキリッと顔を上げた。


「よっし。そうと決めたら、行ってくる!」


そうしてようやく魔王様は出発した。


ふー、やれやれ……


心臓を落ち着かせるために、深呼吸をした。

< 122 / 229 >

この作品をシェア

pagetop