召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?
午前中は掃除で、デザート作りは午後からだ。
先ずは気を引き締めて掃除しないと……
サロペットに穿き替えて、クロスで手すりを磨き始めると、次第に気持ちが落ち着いてきた。
レオさんは申し訳なさそうだったけれど、長時間あのフワフワした精神状態のままでいると疲弊してしまう。
仕事を与えてくれて助かった。
ツヤが出るように磨きながら、階段を上から下へ移動していった。
そうして玄関ホールに到着したときだった。
「貴方がそうなのかしら?」
抑揚のない女性の声が、頭上から落ちてきた。
私はバッと顔を上げた。
だ……誰……?
でも知っている人の面影があった。
似ている、リナさんに……
リナさんのように年齢不詳で、それでいてリナさんをさらに迫力美人にした感じ……
この似方を私は知っていた。
そして、リナさんと魔王様は全然似ていないのに、この人は魔王様とも似ている。
ということは、つまり……