召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?

3.5

客間へ向かっている途中だった。


私は、前・魔王様の3歩後ろを歩いていた。


ところが、だ。


前・魔王様と私の間に黒い壁が出現したのだ。


絶対に何もなかったのに!


いきなりそんなものが立ち塞がってきたものだから、急停止することができず、私はその壁に突っ込んでしまった。


私が衝突すると、その壁はいともナチュラルに私を抱きしめてきた。


あっ、これ壁じゃない……


その感触で瞬時に悟った。


「母親がいるっていうのに、何を堂々とイチャイチャしているのかしら?」


魔王様に抱きしめられている私には、前・魔王様の姿は見えない。


声色から、怒っているというよりも、むしろ呆れているように取れた。


「母上こそ、突然何ですか?」


『母さん』じゃなくて、まさかの『母上』呼び!


「ここは私の実家よ」

「それでも、現在は僕の部屋なんですから、連絡ぐらいは寄越してください」

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