召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?
それからも曲がったり、階段を上ったり下がったり、また曲がったりした。
ひと駅分くらい歩かされた気がする。
それにしても変な回廊。
このぐらいの感想なら言ってもいい?
それともこの回廊を設計した人に聞かれて、危険な目に遭う?
横目で魔王様を見た。
魔王様は正面を見ていたけれど、私のほうを向いた。
「ほら、そこだよ」
あれ? いつの間に?
回廊の終わりに、大きな木製のドアが見える。
そしてそのドアが重々しくゆっくりと内側に開いた。
「お帰りなさいませ」
中にはうやうやしくお辞儀をする男の人がいた。
魔王様と同じくらいの年齢で、タキシードを着ている。角はあるけれど、それを除けばハロウィンの仮装っぽさはない。
髪は短くて、魔王様ほどのイケメンではないけれど、どことなく魔王様に似ている気がする。
「うん、ただいま」
「魔王様、お客様をお連れで?」
その男の人は静かに驚いているようだった。