召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?
そう。魔王様との夜デートではこんなふうに会話している。
「僕ら、いつの間にか恋人同士になってたみたいだね」
ひゃー!
「えっ、恋人同士ではないつもりでいらした?」
「うん。ほら、ミクルは出会ったときから僕の花嫁だったから、そういうのってよくわかんなくて」
「どこからどう見ても、恋人ですよ」
「だってさ。ミクル、うれしいね」
恥ずかしくって、私は何も答えられなかった。
さながら魔王様に手を引かれて歩くゆでダコ。
それなのに、魔王様は『ふふん』と満足げに笑った。
私のことを好きなわけではないのに、私を花嫁にすると決めている魔王様。
魔王様を好きなのに、花嫁になる覚悟はできていない私。
この違いが、余裕の差となって現れているんだと思う。
それからもう少し歩いていると、お城への入口が見えてきた。
「さあて、魔窟に入るよ」
魔王様はキリリッ顔に戻した。
「はい!」
私も眉を吊り上げた(つもりだけど、ホントに上がったかは定かじゃない)。