召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?
召喚されたあの日以来の魔王城。
覚悟して入ったけれど、あの日のような肌にピリピリする険悪な空気ではなかった。
市役所とかそういう場所の雰囲気に近い。
決して大きな音や声は聞こえてこない。けれど、あちこちで真面目に会話していて、ガヤガヤしている。
歩き回っている人もたくさん。
でも魔王様に気付くと、みんな壁際に立ち、魔王様が通り過ぎるのを待った。
魔王様は真っ直ぐ前だけ見て、通路の真ん中を堂々と歩いていく。
魔王様って、ホントに魔王様なんだなー。
そうして魔王様は『衣装部屋』だという部屋へ案内してくれた。
衣装部屋の中には、さらにいくつか小部屋があった。服屋でいうところのフィッティングルームを、もう少し大きくした感じ。
「さっそく着替えをお願いします」
魔王様と私はそれぞれ別の小部屋に通された。
「私がお手伝いしますから」
そう言って、リナさんは他の人を退けて、私と一緒に来てくれた。