召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?
「次は、僕の執務室に行こうか?」
試着のあと、魔王様がそう聞いてくれた。
「おいで、こっちだよ。部屋は殺風景だけど、窓からの眺めはいいんだ」
う……わあ……
魔王様はウソを吐いていなかった。
真っ黒な部屋。
大きな机がポツンと置かれていて、壁の一面が天井から床まで丸っと書棚になっていた。目に入ったのはそれだけ。
「片付いてますね……」
片付いているというより、そもそも物が少ない。
何とか捻り出そうとしたけれど、他に感想は思いつかなかった。
「仕事に必要なものを持ってきてもらっても、終わったらまたすぐに持って帰ってもらうからね」
「それにしても、何か飾るとか……」
「飾る? 何を?」
そんな真っ直ぐに質問されると困る。
魔王様の執務室に飾るものなんて、私が知るわけない。
「わからないですけど、絵画とか観葉植物じゃないですか?」
「どっちもセンスが問われそうだな……あっ、そうだ!」