召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?
ひゃああー! 自分からやっておいて、めちゃくちゃドキドキする!
至近距離で魔王様がうれしそうに微笑んだ。
「それじゃ、いくよ?」
えっ、ち、ちょっと! 魔王様? か、顔が近っ……
「んんっ!」
されたのはお姫様抱っこではなくて、キスだった。
そして魔王様は転移魔法を使った。
その間もキスはしたまま。
……はっ! さっき魔王様の首に腕を回したのって、私からキスをせがんだみたいじゃない?
少なくとも、魔王様はそう思っているはずだ。
やだっ、違うんです! あれは『魔王様が迎えに来てくれるのを信じて、一旦戻ることを了承しました、お姫様抱っこしてもいいですよ』っていう合図であって……
魔王様がゆっくりと唇を離した。
心臓がまだバクバクしている。
頭の中では釈明をまくし立てていたのに、私は何も言えなかった。