召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?

5.2

理事長室の場所はおおよそわかる。


だけど、入ったことはもちろん、前を通ったこともない。


それでも前・魔王様も中にいて、私のことを待ってくれていると思うと、緊張よりも楽しみな気がしてくる。


それにしても、魔王様は魔族と人間のダブルだったんだ。


……こういうのもダブルっていうのかな?


「ほら、先に言ってよ」

「わかってるけど、ちょっと待ってよ」

「じゃんけんで負けたでしょ?」

「深呼吸だけさせてよ」


教室の後方でごちゃごちゃもめている。


けれど、私には約束がある。気にしてなんかいられない。


リュックに持ち帰るものを詰めたら席を立った。


「内藤さん!」


来た……


朝のHR直後から鬱陶しい視線を感じていた。


「今から理事長と会うの?」

「うん。だから急いでるの。それじゃ」

「あっ、待って、待って!」

< 220 / 229 >

この作品をシェア

pagetop