召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?
着替えながら、ふと思った。
そういえば魔王様は『別棟を出るのは僕と一緒のときだけにして』と言っていたけれど、魔王様と一緒に出かける機会はどのくらいの頻度であるのかな……
まあ、あんまり期待できないんだろうな。
だって、私が魔界で外出しないといけないような用事なんて、特にないだろう。
それなのに命を狙われるかもしれない花嫁とお出かけなんて、魔王様にしてみれば、わざわざしたくはないはず。
私が魔王様なら、迷うことなく別棟に閉じこめておく。うん。
リナさんはもっと枚数を用意してくれるつもりみたいだけど、ずっと別棟にいるなら、部屋着(と黒い下着)が3着だけあればいいんじゃないかな……
コン、コンとドアを叩く音が聞こえたのは、試着が済み、考えもほぼまとまった頃だった。
「ミクル様、いかがですか?」
私は最後に試着していた真っ青なワンピース姿を、リナさんに披露した。