召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?
き、き、危険!?
それって、劇中での話ですよね? そういう設定の場所ってことですよね?
それにしては魔王様の目が真剣すぎる。
ここは本当に危険なのかも?
自分の周りを360度見回した。
蔑むような視線がほとんどだけれど、中には憎むような視線まで……
魔王様だけが、私のことを真剣に心配してくれているように見えた。
とにかく一刻も早く帰りたい。帰ったら学校に行かないといけないにしても。
そのことを相談できそうな相手は、この場にはひとりしかいない。
私は自分の足で立ち上がった。
膝がガクガク震えている。
だって、訳の分からないこの状況が怖くて仕方がない。
「では行こう」
魔王様が差し出す、黒い手袋をはめたその手にすがるしかなかった。
そうして魔王様に案内されて、この場を退出した。