召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?
そして今、口をゆすぎ終わって、魔王様の元に戻ってきたところだ。
「魔王様、さっき『少し時間をもらえないかな』って言ってたのは?」
「それなんだけど、リナからミクルが『外出したがってた』って聞いて……」
「あっ、魔王様にしてほしいこと!」
「うん! そういうのを言ってくれればいいんだよ」
「あのときは思いつかなくて……魔王様、私は魔界がどんな世界なのか見てみたいです!」
魔王様が牙みたいな犬歯を見せて笑った。
「でも、いいんですか? 私を外に連れていくなんて面倒なんじゃ……」
「いいんだ、ミクルが望むなら何でも叶えてあげたいと思ってる。でも、人目につかない夜のほうがいいなって思って、それで今誘いに来たんだ」
「えっ!? これから出かけるんですか?」
もう夜もずいぶんとふけてきたのに、まず城に行って、そこから外へ?
ひょっとして魔族って宵っぱりなのかな?