召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?

「今日のところは少しだけなんだけど、夜景を見せてあげたいって思ってるんだ」

「夜景!? わあ、ぜひぜひ見たいです!」

「なら、手を貸して」


手? どうして手を?


とりあえず両手を広げてみた。


「魔力を流すよ」


そう言って魔王様が私の手を取ろうとしたから、私は反射的に引っ込めてしまった。


「魔力!?」

「大丈夫だから」

「全然大丈夫じゃないですよ、怖いです!」

「でも、昨日も流したよ?」

「えっ、いつですか?」

「城からここまで案内するときに……」


説明しながら魔王様は私の右手を握った。


「だから魔獣が襲いかかってこなかったでしょ」

「そうだったんですか!?」


なら、今から魔力を流すのもそのため?


でもそれだったら、ここでじゃなくて、玄関まで行ってからでいいんじゃないのかな……

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