召喚された魔王の花嫁…が私って本気ですか!?
「だ、大丈夫なんで……下ろしてください……」
お腹に力が入らなくて、か細く揺れる声になってしまった。
「驚かせたくて、事前に言わなかったんだけど、どうも驚かせすぎちゃったみたいだね。ごめん……」
魔王様がしょんぼりしながら、そうっと私を下ろしてくれた。
「滑らないように気をつけて。万一のために、僕から手は離さないでいて」
魔王様はそう言って、私の手を握ったままにした。
私はそのときになってようやく真下を見た。
ここって……
「私たち、今どこにいるんですか?」
「魔王城の屋根の上」
なるほど。それで斜面なのか……
「……って、えっ? 屋根の上!?」
ひいいぃぃー!
足が震え出した。
つないでいるのと反対の手でも、魔王様の腕をつかんだ。
「やっぱり、もう一回抱えようか?」
「いいっ、それはいいです!」
私は魔王様に全力でしがみつきながらも、首を横に振った。