黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「アニーちゃんも楽しそうに家族のお話をしてくれるし、ソフィー様も…ウィル様のことをいつもお話してくれるわね…」
エーデル王国の穏やかな街並みを眺めながら、私は昔を思い出す。
「ウィル様の言葉は本当にうれしく思っているのよ。こんな私にあんな風に気持ちを伝えてくれる人がいるなんて…。私も同じようにウィル様のことを思えたら、きっと幸せな時間を過ごすことができるでしょうね…」
「ミオ様…」
「私の両親の仲は冷えきった関係で、いつも会話もなく静かな家だったわ。結局両親は離婚することになって、その時には二人共に私のことを『いらない』って言ったのよ」
「そう、でしたか…」
「小さな頃はあんなに私のことを大好きだと言っていた人達だったのに。だから私は愛するという心が分からないし、長続きしないものだと思っているの」
中庭の塀の壁に手を乗せて俯く。
「だからウィル様の気持ちには…」
…応えられない。
あんなに想いを伝えてくれているのに。
春のように暖かなこの王国では珍しい冷たい風が吹き抜けていく。
まるでこれからウィル様に伝える言葉を表しているかのように冷たい風が…。
「ミオ様、ウィリアム殿下がいらっしゃいました」
耳の辺りに手を添えて風に靡く黒髪を押さえながら振り向くと、花束を抱えたウィル様がいた。
「フフッ。また花束ですか?」
「……ええ。街の視察に行っていました。珍しい花が入荷したと市場で聞いたのであなたに。少しだけにするつもりが、聖女様にといろいろいただいてしまいました」
「ありがとうございます。わぁ、鮮やかで綺麗な赤色!それに、この花びらの形は初めて見ます!市場の皆様にもお礼をお伝えしないと!」
エーデル王国の穏やかな街並みを眺めながら、私は昔を思い出す。
「ウィル様の言葉は本当にうれしく思っているのよ。こんな私にあんな風に気持ちを伝えてくれる人がいるなんて…。私も同じようにウィル様のことを思えたら、きっと幸せな時間を過ごすことができるでしょうね…」
「ミオ様…」
「私の両親の仲は冷えきった関係で、いつも会話もなく静かな家だったわ。結局両親は離婚することになって、その時には二人共に私のことを『いらない』って言ったのよ」
「そう、でしたか…」
「小さな頃はあんなに私のことを大好きだと言っていた人達だったのに。だから私は愛するという心が分からないし、長続きしないものだと思っているの」
中庭の塀の壁に手を乗せて俯く。
「だからウィル様の気持ちには…」
…応えられない。
あんなに想いを伝えてくれているのに。
春のように暖かなこの王国では珍しい冷たい風が吹き抜けていく。
まるでこれからウィル様に伝える言葉を表しているかのように冷たい風が…。
「ミオ様、ウィリアム殿下がいらっしゃいました」
耳の辺りに手を添えて風に靡く黒髪を押さえながら振り向くと、花束を抱えたウィル様がいた。
「フフッ。また花束ですか?」
「……ええ。街の視察に行っていました。珍しい花が入荷したと市場で聞いたのであなたに。少しだけにするつもりが、聖女様にといろいろいただいてしまいました」
「ありがとうございます。わぁ、鮮やかで綺麗な赤色!それに、この花びらの形は初めて見ます!市場の皆様にもお礼をお伝えしないと!」