黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
ミオ様からいただいた愛らしい花を執務室の机に飾る。

「…他の誰とも結婚などしない」

コンコン!

扉を叩く音がして返事をするとシエナが入って来た。
いつもの報告を聞く。

「ミオ様は?」

「少しお疲れになられたようで眠っていらっしゃるわ。今日も神殿での仕事を終えた後、勉強をされていたから」

「そうか…」

「10年眠っていた分も働かないと、とおっしゃっているわ。眠られていた時もこの王国を守ってくださっていたのに」

「ミオ様らしいな。また倒れるまで無理をさせないようにしてくれ」

「ええ。でもお花を手にしている時は本当に楽しそうにされているわ」

「……花を愛でる時のように私のことを見て欲しいものだな」

青いリボンの花を見ながらため息をつく。

「こんなに可愛いお花にも嫉妬? 余裕ないわね。何でもそつなくこなすウィリアム様がここまで苦戦するなんてね」

「ミオ様相手に余裕などない」

< 112 / 257 >

この作品をシェア

pagetop