黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
翌日は私もお休みだったので、シエナ様もお休みしてもらった。
聞いてみるとしばらく王都にあるお家に帰っていないと言っていたので、ご家族に会ってゆっくりとしてきてと帰省を勧めた。
いつもシエナ様はお休みの時も何かと顔を出してくれるから、今日はお家で休息してほしい。

シエナ様がお休みの日はアーロ様が護衛として付いていてくれるけど、男性だから部屋には入らないので身の回りのことは自分でしている。
以前は料理だって洗濯だって自分でしていたんだから、なんてことはない。

『聖女の間』には小さなキッチンもあり、自炊することもできる。
焼き窯や冷蔵庫のような貯蔵庫もあるし、とても便利だ。
でも全部聖女の力がないと使えない。

「最初は力の加減で戸惑ったけど、徐々に使い方が分かってきたわ。本当に不思議な部屋ね」

聖女の間はとても広く、キッチンやお風呂、寝室にリビング、書斎、トイレ等があり、この部屋には全てが揃っている。
歴代の聖女様達が自分の力を使って好きなように増改築をしていたようだ。
前聖女様の志乃様の改装は『土足厳禁』と書かれた靴を脱いで寛げる部屋！

「あー、志乃様ありがとうございます！癒されます」

癒しの力を持っている私が癒される部屋。
お花を活けられるようにしたりと趣味も楽しめるようにして、ソファーも置いていつもこの部屋で寛いでいる。

「やっぱり習慣というのはなかなか消えないわよね。靴を脱ぎたくなる時もあるのよ。この部屋は『癒しの間』と命名しよう」

今日は聖女の間にいる予定なのでアーロ様の護衛のお仕事はお断りしている。
何代か前の聖女様が使っていたのか、お菓子作りに使えそうな物を見つけたからだ。

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