黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「そういえば、ミオ様のお名前にはサクラの文字が使われているとおっしゃっていましたね。聞きたいと思っていたのですが、サクラでミオと読むのですか?」
「私のいた国ではいろいろな文字が使われていて、同じ文字でも読み方が違うものがありました。桜はよく人の名前に使われてもいるんですよ」
「そうですか。それはまた興味深いお話ですね」
「私の名前は実る桜と書いて、実桜と読みます。桜の文字がミオの『オ』なんです。何か書くものがあれば……」
私はウィル様に伝える為に何かに書こうとするけど、ペンも紙もない。
「ウィル様、掌を広げて出してください」
「こうですか?」
ゆっくりとウィル様の掌に指で漢字を書いて伝える。
「まず、実桜の実はこう書きます。そして桜はこうで、こうです」
書き終わるとウィル様をパッと見上げた。
「難しいですね。もう一度お願いします」
少し困ったような顔をしているウィル様。
「やっぱり掌ではよく分からないですよね。しかも漢字だし。もう一度書きますね。実がこうで、こう書いて、桜はね……」
「うーん。難しいですね。こうでしょうか?」
今度はウィル様が私の掌に指で書いてみる。
「あ、惜しい!少し違います!漢字は難しいですよね!あぁ書くものがあれば!もう一度書きますね……こうで、こうです!」
この王国では馴染みのない漢字を伝えるのは難しくて、掌に何度も指で書いた。
教えるのに気が取られていてウィル様にかなり近づいていたことに全く気づいていなかった。
パッと見上げると幸せそうに微笑むウィル様と目が合った。
「え…」
ウィル様は私の手をそっと包み込こむ。
いつからそんな顔をして私を見ていたの?
「あ……」
そして、いつもより大人びたウィル様の表情に、胸にツキンと甘い痛みが拡がった。
「私のいた国ではいろいろな文字が使われていて、同じ文字でも読み方が違うものがありました。桜はよく人の名前に使われてもいるんですよ」
「そうですか。それはまた興味深いお話ですね」
「私の名前は実る桜と書いて、実桜と読みます。桜の文字がミオの『オ』なんです。何か書くものがあれば……」
私はウィル様に伝える為に何かに書こうとするけど、ペンも紙もない。
「ウィル様、掌を広げて出してください」
「こうですか?」
ゆっくりとウィル様の掌に指で漢字を書いて伝える。
「まず、実桜の実はこう書きます。そして桜はこうで、こうです」
書き終わるとウィル様をパッと見上げた。
「難しいですね。もう一度お願いします」
少し困ったような顔をしているウィル様。
「やっぱり掌ではよく分からないですよね。しかも漢字だし。もう一度書きますね。実がこうで、こう書いて、桜はね……」
「うーん。難しいですね。こうでしょうか?」
今度はウィル様が私の掌に指で書いてみる。
「あ、惜しい!少し違います!漢字は難しいですよね!あぁ書くものがあれば!もう一度書きますね……こうで、こうです!」
この王国では馴染みのない漢字を伝えるのは難しくて、掌に何度も指で書いた。
教えるのに気が取られていてウィル様にかなり近づいていたことに全く気づいていなかった。
パッと見上げると幸せそうに微笑むウィル様と目が合った。
「え…」
ウィル様は私の手をそっと包み込こむ。
いつからそんな顔をして私を見ていたの?
「あ……」
そして、いつもより大人びたウィル様の表情に、胸にツキンと甘い痛みが拡がった。